第四説 後編「「「「失礼しま~す」」」」4人はそういって保健室に入った。まだ、猫無は寝ていた。幽海が水草先生にきいた 「水草先生!くうはもう、大丈夫なんですか?」 「もう大丈夫よ。給食も食べたしね。」 そういって、猫無が寝ているベッドのカーテンをあけた。そこには口のまわりに今日の給食のメニューにはなかったはずのスパゲティーミートソースのミートソースらしきものをつけ、すやすやと眠る猫無がいた。いきなり、雪が猫無を怒鳴りつけた。 「おい、猫無!!」 その、気迫に猫無は思わず声が裏返った 「は、はい!!」 「悪かった!!!てか、ごめん!!!」 雪のこの言葉に皆が唖然とした。まさか、雪からこの言葉がでるとは誰もが思いもしなかったからだ。もちろん、幽海が言えといったわけではない。猫無は思わずきき直してしまった。 「は、はい?」 雪はさすがに2回目は恥ずかしかった。 「2回も言わせんな・・・」 「えっ?あっ?すいません・・・」 保健室にへんな空気が流れる。そして、照れ隠しなのか、雪が口を開いた。 「あっ・・・あのさ、口にミートソースついてんぞ。今日の給食にはなかったよな?」 雪の猫無に対する言葉使いから、猫無に心を許したらしい。 雪からの言葉で猫無は初めて、口の周りにミートソースがついていることに気がついた。 「ん?まじ?」 猫無は水草先生からハンカチを貸してもらい、ミートソースをふきとった。そしてスパゲティミートソースを食べたワケを話し始めた。 「今日の給食に鳥のからあげがあったはずなのに、おれのにはなかったんだよ。だから、水草先生にスパゲティミートソースをちょっとだけもらったんだ。」 幽海が疑問を抱いた。 「えっ?なんでないの?つるちゃんとてるちゃんが教室出るときはあったよ。」 そのとき 剣はくしゃみをした。 「くしゅん!!」 のどかが剣がくしゃみをしたのをきいて、飛んできた。 「どうしたの!?剣ちゃん!風邪!?」 「ん?違う違う、誰かがわたしのうわさでもしてるのよ。もちろん、いいうわさだよ。」 水草先生を含む、6人は考えていた。 「そうだ!!雪君ちょっときて!!」 「えっ!?あっはい!」 水草先生はなにかを思いついたようだ。雪は保健室の奥のほうに連れて行かれ、カーテンをしめた。 5分後・・・ 水草先生は満足気に出てきた。 「さぁ!名探偵白原 雪少年の誕生です!!」 そういうと、奥のほうのカーテンを勢いよく開けた。 「・・・」 しかし、そこには誰もいなく、ソファーしかなかった。水草先生はちょっと怒ってまた、奥にもどっていった。 「ちょっと~雪君~恥ずかしがらないで、出ておいで~」 水草先生はソファーの後ろに手を伸ばし、なにかを掴んだ。そして、思いっきり引っ張った。 「やめてくださいよ!!先生!これだけは許してください!!!」 ものすごく、拒絶する、雪の声がきこえた。 「ちょっと!雪君あきらめなさいよ!!」 「いやです~!!」 雪はだいぶ粘ったが、とうとう水草先生にひっぱり出された。雪の格好は金田一少年の格好だった。水草先生に無理やり、着せられたらしい。そして、水草先生に耳打ちされると、照れながらも口を開いた。 「こ、この謎は!お、おれが解く!じっちゃんの名にかけて!!」 水草先生だけが拍手をし、猫無、幽海、村雨はびっくりして声がでなかった。ラキは大爆笑。 「てめっ!!笑うんじゃねぇ!!!」 「ばっっっっっっかじゃねぇの!!!はっはっはっは!!!!」 「ぶっ潰す!!!」 すぐさま、水草先生が止めに入った。 「さっ雪君、続けて続けて♪」 「あっはい。えっ、え~と・・・ゆ、幽海君、教室を出るときは本当にあったのかね?」 幽海はいきなり声をかけられ、びっくりして、飛び跳ねた。 「えっ!!ぼく!!?え~と・・・うん、たしかにあったよ。」 「だとしたら、犯人は銘剣 剣、照月 のどか、水草先生の3人に絞られた。」 水草先生はわざとっぽく、びっくりして、反論した。 「わたし!?わたしは猫無君の給食に、手をふれていないわ!!剣ちゃんから直接受け取ったはずよ!!!」 「そうなのか!猫無君!!」 今度は猫無が飛び跳ねた。 「えっ!あっうん。」 「そうか・・・ならば、犯人は銘剣 剣だ!なぜなら、照月 のどかはそこまで食い意地は張っていない。しかも、照月 のどかは調べたデータによると、鶏肉が苦手なはずだ。」 水草先生は容疑者役から助手役に変わった。 「はい、確かに照月 のどかは鶏肉が嫌いです。」 猫無、ラキ、幽海、村雨は驚いた。 「「「「い、いつの間に!!!!」」」」 雪は決め言葉を言う。 「このわたし、白原 雪にかかれば、どんな難事件でも解けないものはありませんよ。」 ラキは再び笑う。 「はっはっは!!結構はまり役じゃねぇかよ!ばか名探偵!」 ふと、雪は我に返る。 「はっ!おれとしたことが・・・てめっラキ!!笑うんじゃねぇ!!!」 殴り合いになりそうな時、村雨が2人の拳を両手で受け止めた。 「はい、そこまで。帰ろうぜ。」 ラキと雪は言う 「「いやだ!!」」 「はいはい」 村雨はそういうと、2人の手をつかんだまま、2人を引きずり保健室を出ようとした。しかし、猫無がベッドに倒れこんだ。 「やべっ、また具合悪くなってきた・・・ラキ、背負って。」 村雨はラキの手を離したが、雪の手は離さなかった。 「ちょ、ちょっと、村雨!離してくれよ、てか、離してください」 「いや、だめだ。」 そういうと、今度は雪だけを引きずって保健室を出た。幽海も、村雨と同時に保健室を出た。 ラキがめんどくさそうに、猫無を背負った。 「ったく、今日だけだぜ。水草先生、お世話になりました。」 「悪いね~♪」 そして、猫無とラキも保健室から出て行った。 猫無を背負ったラキが校門を出た先には、幽海、雪、村雨が待っていた。あいかわらず、村雨は雪の手を掴んだままだ。 「おう、わりぃな。待たせた。」 「いやいや、勝手に待ってただけだから、気にしないで♪」 そして、みんなで歩きだした。学校から家までは、幽海と雪が一番近い、次に村雨、一番遠いのは猫無とラキの家。けど、ほんとのところは、村雨の家はどこか誰も知らない。途中で別れるから、家の場所を知らない。家に行ったこともない。というよりも、行かしてくれない。実は、村雨はなぞが多かったりする。今日はいつもと違う。いつもは5人並んで歩いているが、今日は、猫無がラキの背中の上だ。そのせいで、話に入れなかったりする。そこで、猫無は考えた。自動販売機を見つけると、言う。 「あ~あ、喉渇いたな~、ジュースが飲みたいなぁ~。誰かさんに殴られたせいで、給食の牛乳しか飲んでないしなぁ~」 「悪かったよ、買えばいいんだろ!!」 猫無は、雪にジュースを買わせた。 「サンキュ~♪」 そして、またしばらく歩くと、駄菓子屋を見つけ、言った。 「お菓子が食べたいなぁ~誰か買ってくれないかなぁ~」 そういうと、雪をチラ見した。 「はいはい!!わかったよ!!買えばいいんだろ、買えば!!」 「いや~悪いねぇ~」 そして、また、しばらく歩くとハンバーガーショップを見つけ、また言う。 「あ~具合悪~。ハンバーガー食いたいなぁ~」 さすがに、4人は気付いた。村雨は言う。 「こいつ、ほんとは具合なんか悪くねぇんじゃねぇの?」 雪とラキ、幽海も続く。 「ああ、たぶんな。」 「降ろすか。」 「いいよ、降ろしちゃって」 ラキは猫無を降ろした。猫無は地べたに座り込んだ。 「具合わりぃんだって、背負ってくれよ~」 ラキは歩きだした。 「歩けるだろ?おいていかれたくなかったら、自分で歩きな。」 雪、村雨も歩きだす。 「ったく、ジュース買っちまったぜ。」 「それはしょうがないとして、駄菓子まで買ったじゃん。」 幽海までもが、歩きだした。 「たまには、こんな日もあるよ」 「お~い!!みんな~本当に具合悪いんだって~!!病人をおいていくのか~!!」 4人は無視して歩き続ける。 「死んじゃうよ~いいの~!」 無視。 「・・・ごめんなさ~い!実は歩けます~まってってば~!!」 やっと、合流し、5人にいつもの空気がもどった。 そして、幽海、雪と別れた。猫無は別れのあいさつを。 「じゃあな、また明日!」 「うん。また明日ね」 「おう。じゃあな」 そして、すぐのところで、村雨とも別れた。というよりも、急にいなくなっていた。 しばらく、猫無とラキの間に沈黙が流れる。そして、猫無が口を開いた。 「ラキ、どうだった、学校?」 「ああ、楽しいよ。」 「そう、よかった。」 猫無が安心したのもつかの間、ラキが、殺気を感じ取った。 「猫無、動くな。やべぇぞ、見つからないことはねぇとは思ってたけど、まさかこんなにも早く見つかるとはな・・・。どこにいやがる、殺気しか、感じねぇぞ。」 ラキはものすごい殺気を感じ、冷や汗をかいていた。殺気を出していると思われる男が猫無とラキの目の前に現れた。この男はだいぶ前からラキのことを知っているような口調で話し始めた。 「ラキ、おまえだいぶ弱くなったな。このくらいの殺気で冷や汗かくなんてな。」 「てめぇ誰だ!!」 ラキはこの男を知らないらしい。 「おいおい、忘れちまったのか?薄情なやつだな~ま、いっか。」 「てめぇの名前はなんだ!!」 「ん~そうだな~“プロミネンス”とでも名乗っておくかな。さて、やるかな。」 そういうと、プロミネンスは背中からブーメランを取り出した。そして、猫無に話しかけた。 「悪いね、上からの命令でラキを連れて行かないといけないんだ。そのためにはパートナーであるおまえを殺さなくてはいけねぇんだ。」 プロミネンスの目つきが変わった。 「・・・死ぬのおれ!!?」 |